シャープは40億500万円で東芝の子会社「東芝クライアントソリューション」の株式の80.1%を今年10月に取得予定とのニュースが流れました。
シャープはパソコン事業から撤退しており、東芝のパソコン事業の買収により、再参入する形となります。
東芝のパソコン事業は2017年度に96億円の営業赤字で、経営再建に向けて東芝はパソコン事業も切り捨てざるを得ない状況に追い込まれているのです。
一方でシャープは、台湾のホンハイ傘下に入り、4年目にして最終損益の黒字化を達成し、攻めの経営に転換しており、ホンハイから送り込まれた戴社長は、シャープの管理とダイナブックの部隊を融合すれば必ず黒字化できると自信を見せており、2年以内に黒字化を達成するとしているとニュースでは伝えられています。
このシャープが東芝のパソコン事業を買収した背景には、約400人のIT技術者を獲得できることも買収理由の一つと考えられておりは将来的には、人工知能やIoTの部隊と相乗効果を出すことが重要と戴社長は指摘しているとの事です。
ホンハイは、元々EMSと呼ばれる電子機器組立企業で、本社は台湾ながら中国工場を上手く使い、欧米や日本の携帯電話等のデジタル機器を中心に生産を行っていた企業です。
コモディティー化した携帯電話等では、組立から設計へと川上に事業拡大する事は比較的容易で、ホンハイは企業買収も含めて液晶パネルや携帯電話事業で、メーカーとしての地位を確立して行ったのです。
同じ様にコモディティー化したパソコン事業を成功に導く事は、シャープだけでなく、シャープ・ホンハイ企業連合で見れば十分勝算があるのでしょう。
日本の電子機器メーカーの凋落傾向は顕著で、三洋電機が実質的になくなり、シャープがホンハイ傘下に入り、そして東芝が解体的出直しの必要な状況に陥っている事は周知の事でしょう。
この要因にテレビまでがコモディテー化した影響が極めて大きく、ソニー、パナソニックもテレビ事業の不振から悪化した経営をようやく建て直しつつあると言う状況です。
デジタル化により、LSIがあれば比較的簡単にその電子機器事業に参入できる恐ろしさを改めて感じさせられました。
また、パナソニックやソニーが土俵際で踏ん張り、シャープはホンハイから送り込まれた戴社長により再建を果たし、東芝が解体的な状況に陥っている事を見ると、いかに経営トップの手腕が大切かも再認識させられます。
こうした電子機器産業で起こった現象が、自動車産業において、EV化がその轍を踏まないのかが心配です。
トヨタを始め、日本の工業を牽引する自動車メーカーはこの電子機器産業の出来事を教訓として、世界のトップであり続ける戦略をきっちりと構築して欲しいと強く願います。