僕はずっと思っていた。
「スノーボードがしたい、でも誰か一緒に行ってくれる人はいないか・・・」
初心者の僕がスノーボードをできるようになるためには上手い人に教えてもらう以外選択肢はなかった。
ある冬の朝、友達と話しているとスノーボードに行く約束が決まった。
「よっしゃー!」さっそくスポーツ店にいき必要な道具を購入し、動画などを見てイメージトレーニングを重ねた。
・いざ、ゲレンデへ。
まず転ぶ、まぁ転ぶんだそれが・・・
でも僕は『好奇心』の方が強く痛みや恐怖などはなかった。
何度か友達に教えてもらいながら少しづつ上達して行くのを感じる。
「楽しいなー!!もっと早く綺麗に滑れるようになりたい!」
僕の心は高ぶる思いでいっぱいであった。
そして何回かその友達と雪山に足を運んでいたある日・・・
・事件は起きた
その日は雲ひとつない綺麗な空、風は強くない、雪がパウダースノー、滑っていると少し体が暑くなるくらいであった。
なんども頂上のほうにいき転んでは起き上がっての繰り返しであったがそれでもだいぶ滑れるようになったためコースの端のほうにいき新雪を楽しんでいた。
少しづつ天候が悪くなってきたが、雪山なんて「そんなもんだろ」と思いそこまで気にしていない。
徐々に視界が悪くなってくる、でもスリルがあって楽しいくらい。
「やべーー!!まじ見えにくいな!!笑」などといって友達とコミュニケーションをとりながら雪の上を滑っていた。
・ いる?
「ん?・・・・ に?」
狭い道を抜けて大きコースに出た瞬間に声が聞こえなくなり、姿もまったく見えなくなった。
そして、完璧に目の前が真っ白になった。
雪が降っていることすらわからない。
本当に真っ白な世界だ。
僕は「白いなースゲー!!!」と思った。
何かに急にぶつかり転んだ。
・ ドンッッッッッッッ
僕は急に左右の感覚や自分が今立っているのか滑っているのか、前に進んでいるのかすらわからなくなりすぐにゴーグルをはずした。
そう何も見えない。
ほんの数秒前までは真っ白だなと認識することができたが今は何も見えない。
透明に見えるのだ。
軽いパニックだ。
さっきまで進んでいたが急に何かにぶつかり、転び、今自分が横になっているのか立っているのか、座っているのか、それとも進むべき方向に対して背中を向けているのか。
何もかもが一瞬でわからなくなった。
そう僕は狭い道をでて電柱を通り過ぎた時の分かれた風にぶつかったのだ。
「やばい、やばい、やばい、見えない、なんだこれ。え?待ってやばいやばい。」
もう『やばい』しか考えられない。
幸いにも僕は寒いのが好きではないのでかなりの厚着をしており、寒さに震えることはなかった。
まず 『立つ』 これができない。
やわらかい雪の上で風も強く、ある程度角度のある斜面で自分がいまどこを向いているのかすらわからない。
立っては転ぶ、なら反対を向いてたってみよう・・・転ぶ。
それを繰り返し僕の体力と気力はすり減り、「このままだと死ぬ。」
そう確信した。
たった10分間で僕は完全にパニックになりなんとか抜け出そうともがいてた。
そのときスノーボードの板に手が当たりかなり痛かった。
本当にかなり痛く骨が折れたのではないかと感じる。
しかし、その痛みこそが僕を救う手段になった。
パニック状態の僕にとって痛みは効果的である。
もう痛いという感情だけが僕の心の中を支配していた。
見えないという恐怖、立つことすらままならない、呼吸が浅くなる、誰もいない、音すら聞こえない。
全てのネガティブな感情が一瞬で消えた。
「いっっっってーーーー!なんだよ?うわーマジ痛い、なんだよふざけんなよ。あーーーまじないわー、ほんとないわー、いてぇし、前見えねぇし。。クソまじ顔いてぇわ、ムカつく。あー、は?なんでこんなことになってんだよ?💢舐めんじゃねぇぞ、まじストレス溜まるわ!!あーーーーーー!!」
僕は大声で叫び散らかし、僕の頭の中には100%ストレスで支配されている
怒りの力でまた動き出し『前も後ろも関係ねぇわ、うざ!!!』と叫びながら
地面をハイハイしながら動いた。
自分の足場を固めてボードを固定し、手で漕ぎなからとりあえず前にすすんだ。
・ い!!
「おーーーーい!!」 「生ーーーーてる??』
友達の声だ「生きてるぜ〜〜〜〜〜〜」
少しづつ視界がはれたおかげで命は助かった。
もしあのままホワイトアウトがつづいていたら僕は好奇心で命を落としていたことだろう。
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