「紀州のドンファン」という異名で知られた資産家が不可解な死を遂げ、その体内から覚醒剤反応が検出されたという事件は、ニュースで連日取り上げられています。
その死の前に、愛犬がこれまた不可解な突然死を起こしたことも話題になっています。
そして資産家の死の当日に同じ家にいた妻と家政婦に対して、真偽不明の様々な憶測も飛んでいる状態です。
特に、55歳年下の妻の動向が注目浴びています。各ワイドショーで取り上げられ、妻のインタビューに成功した雑誌やテレビ番組もあって、その動向が事件の鍵を握るのではないかと思われています。
しかし、まだ今回の事件が自殺か他殺かの判断もされておらず、当然ながら犯人と呼ばれる者が実際にいるのかどうかもわからない状況です。
そんな中で、妻に対する憶測が盛んになっているのは、大変問題であると考えます。
もちろん不可解な事件であり、資産家の特異な言動や夫婦生活などへの興味もあって、この事件が話題になるのは当然でしょう。
様々な疑問について報道するのも報道姿勢として必要です。しかし、世間の興味を引く事件であるからこそ、さらに報道を慎重にする必要があると思います。
テレビでの何気ない一言が、罪のない一人の人間に対する疑いを深めることになるかもしれないのです。
様々な論評するのはもちろんいいのですが、必ず今の状況を客観的に評論することが必要です。
また、資産家の住んでいる自宅は監視カメラが何台も張り巡らされてセキュリティが厳重だと思われていましたが、実はそんなこともなく外部から人が出入りできる状況であったという報道もあります。
最初から一つの結論に向かって報道がされていくのは非常に危険です。事実を淡々と伝えるニュース番組なら問題はありませんが、ワイドショーになると一方的な決めつけの視点になる場合もあります。
実際に、過去にも報道が過熱してこの人物が犯人に違いないという印象が出来上がった事件について、その後裁判で無罪になったものがあります。
もちろん客観報道の一方で、様々な意見や疑問に対してそれを自由に発言するということも大切です。
言論自体が規制されるようなことになれば、それは一大事の状況になります。その辺りの平衡感覚をどのようにとるかが、新聞やテレビや雑誌などのメディアが最も配慮すべき点でしょう。
ネット上では、根拠のない憶測や中傷がされることも多いです。しかしその一方で、ネットによって今まで表に出なかった事件が明るみに出ることもあります。
報道の自由と人権について、このような事件を通してもう一度深く考えてみることも大切なことでしょう。
「紀州のドンファン」怪死事件の報道について憂慮すること
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